借金が原因で税金が払えない…でも税金が優先

現在、日本国内には、約1,347万人の借金を抱えていると言われています。

これほど多くの債務者がいるとなると、中には、生活を安定させるために税金よりも先に借金を返済しているという方も多いのではないでしょうか?

国民年金や健康保険料、住民税など月々に支払うものは多くありますが、そんなもの払っている余裕が無い…。

ただ、税金を滞納し続けるとどうなるのかなど、気になるところは多々あります。

そこで今回は、借金が原因で、税金が払えないという場合についてまとめてみました。

借金があっても税金が優先

この借金を抱えていて、税金が払えないという場合ですが、支払いの優先順位を調べてみたところ、地方税法第14条に以下のような記述がありました。

地方税優先の原則 第14条

「地方団体の徴収金は、納税者又は特別徴収義務者の総財産について、本節に別段の定がある場合を除き、すべての公課(滞納処分の例により徴収することができる債権に限り、かつ、地方団体の徴収金並びに国税及びその滞納処分費(以下本章において「国税」という。)を除く。以下本章において同じ。)その他の債権に先だつて徴収する。」

とされています。

つまり、特別な理由がない限り税金の支払いが優先、という事になります。

また、この地方税と呼ばれるものには次のようなものがあります。

地方税一覧

  • 所得税
  • 住民税
  • 事業税
  • 不動産取得税
  • 自動車取得税
  • 自動車税
  • 鉱区税
  • 固定資産税

などがあり、これら項目中のいずれかに支払対象があった場合、借金よりも優先して支払う義務があります。

ただ、借金を抱えているのに税金を払えと言われても、そう簡単にお金を準備する事も難しいですよね。

そんな時は、地方税を分割して支払うことも可能なので、自身の居住区を管轄する市町村役場の納税課に行き、分割払いの手続きを行いましょう。

延滞税が免除されない理由

この地方税を払わないでいると、延滞税が付加されてしまいます。

昔であれば、延滞税を免除してくる地方自治体もあったようですが、次のような理由で、免除されないようになっているようです。

  • 担当者の裁量で延滞税の徴収に差が出るのは不公平
  • 債務者等の交渉能力で延滞税の徴収に差が出るのは不公平
  • 納税者に隠れた資産があるかもしれない
  • 延滞税を免除する理由がない

また、自己破産などをした場合でも、この延滞税はそのまま支払う義務があります。

それでも税金を支払えない…

分割払いなどの選択肢があるにも関わらず、それでも税金を支払わなかった場合どうなるのでしょうか?

そういった場合には、公的に差し押さえの対象となってしまいます。

差し押さえ対象物

  • 不動産(持ち家や土地など)
  • 車やバイク
  • 預貯金
  • 給与
  • 生命保険金
  • 換金(現金化)できるすべての物

差し押さえの対象はこれほど広範囲となっていて、さらに一度施行されてしまうと差し押さえを取り下げる事はとても難しいため、手元には何も残らなくなる可能性が十分に考えられます。

また、延滞税は生きているので、今よりも厳しい状況になりかねません。

税金を払えないからといって、市役所などに連絡を一切しないということは辞めましょう。

市役所の方が、何か改善案を出してくれるかもしれません。

カテゴリー 相談・QA
タグ 借金,税金,払えない,優先
作成日時 2016-07-04 12:33:17
更新日時 2016-07-04 12:37:24

自己破産

借金を返済する事が全く不可能な場合に行うのが、自己破産です。

破産というとあまりいい印象はありませんが、借金が返済できない時に考える方法の一つです。

全ての借金を帳消しにできる最終手段的な方法で、自分ではどうしようもない場合はこの方法を使います。

任意整理

支払額を減らす事で、借金返済が可能になる場合に行うのが任意整理です。

ただ、任意整理は、全ての債権者(借入先)1社づつと債務に関する交渉が必要となるため、非常に難しい方法になります。

そのため、自分で行うというよりは、弁護士などが行う方法です。なんでも任意整理をした人が500万人近くいると言われています。

特定調停

特定調停とは、特定の債務者(借主)に関する調停という意味です。

簡易裁判所に申し立て、調停委員を仲裁役として、債務者の経済的再建を支援する制度です。

調停なので、貸主、借主側双方の合意が必要となりますが、借金の元金を減らす事が出来る可能性があります。一度相談してみてもいいかもしれません。

個人再生

銀行などの金融機関に住宅ローン借入があり、自宅を手放したくない場合に行う方法が個人再生です。

自己破産すると所有物件を、競売や任意売却などで手放す必要があるため、救済措置としてできた民事再生法という法律の中の手続きのひとつで、比較的新しい方法です。

ただ、個人再生を申し立てるには、弁護士に再生計画を作成してもらう必要があります。